カメラと機関車

佐々木桔梗とプレス・ビブリオマーヌ[10]

『カメラと機関車』佐々木桔梗
No.1 1970.2, No.2 1970.5, No.3 1971.1
各限定1500部
プレス・ビブリオマーヌ

 表紙に記された「CAPRICE-PUBLICATION」は“気まぐれ刊行”と訳したらいいのか。『告別の訪問“機関車”』と同じ体裁による、不定期刊行の個人誌である。
 『カメラと機関車』というタイトルは、桔梗氏が少年時代に感銘を受けた吉川速男による同名の著書(1938・玄光社)から採られている。
 全ページ、タイトルも小見出しもない書き流し風のエッセイで、1号は少年時代の昭和初期に撮影した鉄道写真や、終戦間もない頃、新聞に書いた鉄道記事の思い出話など。2号は汽車の絵柄の本、マッチラベル、ポスター、絵画などを紹介。こうした記事は、のちに「鉄道ジャーナル」の「装本芸術と汽車」(No.125 1977.7-No.130 1977.12)や「ポスターと書物のドラマ」(No.131 1978.1-No.160 1980.6)といった連載に発展した。3号は再び少年時代の鉄道写真、吉川速男の著作などに触れる。
 表紙は『告別の訪問“蒸気機関車”』同様、洋書を思わせるデザイン。第3号の75部は特別版として、「ロイヤル・スコット」をモチーフとした、小林ドンゲによるシュールな銅版画が付録としてつく。