ロコ・アート

佐々木桔梗とプレス・ビブリオマーヌ[11]

『カメラと機関車 別冊「ロコ・アート」』佐々木桔梗
No.1 1971.6・限定1250部
No.2『幻想急行』1971.8・限定1500部
No.3『街の中の蒸気機関車』1972.10・限定725部
プレス・ビブリオマーヌ

 『カメラと機関車』の別冊として、その後を継ぐようなかたちで刊行された『ロコアート』は各号趣が異なった内容で、判型もそれぞれ違っている。
 1号は鉄道写真に関する話題で、モータードライブによる連続撮影や決定的瞬間について。2号は『幻想急行』と題した異色の写真集。著者によれば「C62重連急行というイメージを、シュールレアリスム的な解釈のもとに追究した絵画的手法」ということで、夜の機関車をスローシャッターで撮影した前衛的な(一般のマニアには向かない)作品になっている。3号は『街の中の蒸気機関車』と題したヨーロッパ旅行の印象をまとめた写真集。ドイツのハンブルクで01形蒸機のキャブに乗せてもらった思い出が制作の動機になったという。3冊中、最も大きな判型で、グラフィック・デザインを意識したレイアウトになっている。この号にも75部の特別版があり、V型エンジンのドイツ製19.10形蒸機と裸婦を組み合わせた寺島勝治の銅版画が付録としてつく。