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鉄道博物館の片隅で

僕の電車漫筆[2]

 1955(昭和30)年にデビューした相鉄初の高性能車、5000系は、東急の5000系と似たスタイルながら、床下機器を包み込んだボディマウント構造で、塗色も緑がかった青とグレーの塗り分けに赤と白の帯が入るという手の込んだものだった。
 昭和30〜40年代に相鉄沿線で生まれ育った自分にはこの電車が懐かしい。丸みを帯びたその姿は、素っ気ない切妻形の6000系とは好対照だった。
 少年時代、そんな5000系の大きな模型を、どこかで見た記憶がある。親に連れられてでかけた、今はなき交通博物館のようにも思えるが判然としない。ぼんやりと脳裏に浮かぶ5000系の模型がずっと気になっていたが、数年前、鉄道博物館の収蔵庫のような部屋の片隅で、その実物に再会した。


相鉄5000系の20分の1模型

 部屋の棚には、交通博物館時代に作られた20分の1スケールの模型のなかでも私鉄の車両が収められていた。JR東日本の企業博物館に変わり、こうした模型はお蔵入りになっていたのだった。
 相鉄5000系とともに棚に並んでいたのは、小田急3100形NSEロマンスカー、東武1720系DRC、近鉄10100系ビスタカー、近鉄20100系「あおぞら」、東急8500系、京阪2000系、営団丸ノ内線300形、同日比谷線3000系、同千代田線6000系、都電8000形、東京モノレール100形と、錚々たる大手私鉄や都心の電車たち。そんななかに、かつてはローカル私鉄に過ぎなかった相鉄の車両は場違いだが、それだけこの5000系は、デビュー当時、画期的だったのだろう。子供の頃持っていた小学館の『交通の図鑑』にも、「私鉄の特急電車」と題したページに、小田急3000形SEロマンスカー、近鉄10100系ビスタカー、阪神5001形ジェットカー、南海21000系ズームカーなどと並んで、なぜか相鉄5000系が紹介されていた(印刷の関係か、車体の緑がかった青が緑になっていた)。


『交通の図鑑』(1961改訂版・小学館)より

 その後、鉄道博物館を再訪すると、館内のリニューアルで、小田急のロマンスカーや近鉄の「あおぞら」号など、一部の私鉄車両の模型が展示室に移動していた。だが相鉄5000系は相変わらず、棚の中に置かれたままだった。今となっては知る人ぞ知る存在、車内を見せるカットモデルになっていることもあり、この模型が再び展示される日はないだろう。