今月の写真[9] 電車の家 花巻市内(花巻電鉄) 1995年8月 そぼ降る雨のなか 水溜りのできた路地の先に その“家”はあった それはかつて 山峡へ湯治客を運んだ軽便電車 幕板に残るアーチの飾りが 往時の姿を偲ばせた
今月の写真[10] 陽だまりの悪童たち 梁川町立粟野小学校(福島交通) 1994年11月 小学校の脇に放置された その馬面電車は窓ガラスもなく ヤンチャな子どもたちの遊具と化していた 「おじさん、何撮ってんの?」「こんなボロ電車より俺たち撮ってよ!」 あれから20年 大人になったこの子らは 電車のことを覚えているだろうか
今月の写真[11] デハ101 銚子電鉄・仲ノ町 1982年1月 自由形の模型みたいな 寸詰まりの愛らしい電車 101というナンバーも そんなスタイルに相応しい 醤油工場の香り漂う構内で 今日は入換え作業 貨車を牽くその姿は まるで模型のミキスト
今月の写真[12] 水平線を望む 銚子電鉄・海鹿島-君ヶ浜 1984年1月 「上総の町は貨車の列 火の見の高さに海がある」 そんな谷内六郎の詩があったけれど ここは下総君ケ浜 松林の高さに太平洋の水平線 キャベツ畑の広がるなかを ビューゲル電車が走ります