1980年代初めのことである。今はなき日立電鉄を撮影した帰り、常磐線の車窓に妙なものを見つけた。線路の上に軽トラが載っていたのである。
早速、最寄りの天王台で下車し、近くまで行ってみると、フロントマスクの形から「ドラえもん」と呼ばれる360ccのダイハツ・ハイゼット(4代目)とトロッコが、レールを流用したと思われる長いリンクで繋がれていた。
クルマはもとのホイールのまま、その周りが車輪になっている。ナンバーもついているので、車輪をタイヤに交換して道路も走る「軌陸車」なのかもしれない。
その日は既に日が暮れて、うまく撮影できなかったため、後日再訪してみると、ハイゼットは2ストロークエンジン特有の白煙を吐きながら、バラストを積んだトロッコを牽引して、線路を行ったり来たりしていた。
当時、常磐線の我孫子〜取手間では複々線化の工事が行われていた。ハイゼットは新しく敷いた線路のバラストを撒くために使われていたのだった。
近年ではDMV(Dual Mode Vehicle)と称する車両が登場しているが、天王台で見たような、既存のクルマに車輪を履かせたものも、調べてみるといろいろあるようだ。
名鉄には軽トラの三菱ミニキャブ(5代目)を改造した保線用のモーターカーがあるという。外観はほとんど軽トラのまま、天王台で見たハイゼットと似ている。
また、1950年代のフランス国鉄には、シトロエン2CVバンの保線用モーターカーがあったという。





