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「フォード万歳」のこと

「私の思い出写真」の思い出

 70年代半ばの『鉄道ファン』に「私の思い出写真」という連載があった。そのタイトルから、特にゲテモノを取り上げる連載として始めたわけではないのだろうが、第1回が、牧野俊介氏による「南筑軌道のオバQ機関車」と題した石油発動車だったからか、その後も根室拓殖の単端や淀川のドコービルなど、ナローの変わった車両が多く紹介された。
 なかでも第2回の、臼井茂信氏による「フォード万歳」(1975.4)は、足尾銅山馬車鉄道を走っていたガソリン機関車を捉えたもので、A型フォードのボンネットに簡単なキャブをつけただけのスタイルには大きな衝撃を受けた。
 実は「フォード万歳」には“プレゼント”があって、掲載された写真の密着焼き手札判が、抽選で読者に贈られた。
 写真は臼井氏の中学時代の1934(昭和9)年、掲載より41年前の撮影ということで、中高生に限り、先着41名としたが、予想に反して希望者が多かったため、抽選100名に改められている。
 当時、足尾を訪れた臼井氏と同じ学年の中学生だった私は、巻末にあったその告知を目ざとく見つけると、すぐに葉書を送って写真を入手したが、私のようなのは少数派で、ナローのゲテモノに興味をもつ10代の若者がそんなにいたとは思えない。応募葉書には学校名や学年も明記することになっていたが、自分や知人の子どもの名前を借りて応募した大人も結構いたのではないか。